• 【smoking city 446/1095】「気をつけろって言ったろ」

  • 【smoking city 445/1095】 私はおじさんに持ち上げられ、カウンターに腰をもどした。金髪女も律儀に四千円だけ抜いて、残りはカウンターに置いていったらしい。

  • 【smoking city 444/1095】 女につかみかかる瞬間に、右目に痛みがはしり、思わず目をおさえた。真っ暗な視界からきこえたのは、「プラス二千円で、計四千円で~す」そして遠ざかっていく足音だった。

  • 【smoking city 443/1095】「返せよ、このやろう」

  • 【smoking city 442/1095】 私はとっさに後ろポケットの財布を押さえようとした頃、すでにそれは女の手の中にあった。手癖がわるいというかよいというか。一つわかったのは、こいつがわるい娼婦だということ。

  • 【smoking city 441/1095】「あの、」と言いかけると、「お金はあるわよね」と首を傾げて見せた。

  • 【smoking city 440/1095】 ベッドインは五万円らしい。

  • 【smoking city 439/1095】「―――手に触れると二千円、お尻は五千円、キスは一万円」

  • 【smoking city 438/1095】 私は会釈をしながら、立ち上がった。それを見て金髪の女は微笑む。

  • 【smoking city 437/1095】「はい……」

  • 【smoking city 436/1095】 女のひとだった。金髪で、かるいウェーブがかかっており、優しい顔立ち。しかし、手の感触だけはひんやりと氷に触れているようだった。

  • 【smoking city 435/1095】「怪我ないかい?」

  • 【smoking city 434/1095】 と、誰かが私の手をとった。

  • 【smoking city 433/1095】 別に私は悪くないはずなのだが、なんとなくあやまってしまった。私の横に座っていた男は冷たい目というか、人のひとりやふたりは殺ってしまっているような目だった。

  • 【smoking city 432/1095】「あ、すみません」

  • 【smoking city 431/1095】 と、私の眼前で火花が散る。あわてて、丸椅子からころげ落ちてしまった。床から見上げると、ただ横の人がライターを点けただけだということがわかる。タバコをくわえて、こちらを見下ろしている。

  • 【smoking city 430/1095】 私たちは、正面のカウンターに腰を下ろした。

  • 【smoking city 429/1095】 まさにR指定。

  • 【smoking city 428/1095】「すごいところだな」

  • 【smoking city 427/1095】 それでも店内は盛り上がっており、私のせきもその喚声にかき消される。